北海道発 北十勝ファームの牛たち
日本では国内自給率が25%しかない濃厚飼料ですが、ここでは国産飼料にこだわり、ほぼ100%国産です。

この牧場では短角牛の一貫生産で約200頭の繁殖雌牛と雄牛数頭、約380頭の肉用牛を飼育しています。北十勝ファームの理念は「雄大な自然の優しさと厳しさ、そして人間の英知と努力、その調和の中にこそ本物の農業、本物の食、本物のおいしさがある」とあります。
また、この牧場では十勝産のトウモロコシ(デントコーン)のホールクロップサイレージ(乳酸発酵飼料)の他に十勝産の小麦、大豆、ビート(砂糖大根)の絞り粕などを利用し、飼料の国産自給率はほぼ100%達成できています。この規模の飼育頭数ではたぶん国内屈指のこだわりの国産飼料です。


牛たちが飲む水は北海道で数少ない天然の雑木林で湧き出るミネラルたっぷりの天然水です。1日に約50リットルの水を飲む牛たちにとって、この天然水は健康の源です。そして、牛舎で発生する牛の糞尿を堆肥舎で発酵させ、近所の畑作農家で栽培してもらっているデントコーン畑でも使用し、地域循環型農業を実現してきました。 このサイクルのおかげで肥料購入や堆肥の輸送などに費やすエネルギーは減り、CO2排出の削減にも役立っています。
また、堆肥の一部は木屑に混ぜて牛舎に戻し、牛の敷料にするため、堆肥を分解する菌が牛舎内の糞尿を分解し、牛舎に特有の匂いがありません。牛にも環境にも優しい北十勝ファームの取り組みは、まさにサステナブルな生産だといえます。
北十勝ファームでは、短角牛のほかにフランス原産の肉用種シャロレーの繁殖にも取り組んでいます。シャロレーは赤身がおいしく、個体が大きくなるため、フランスでは人気の品種で1番多く飼育されています。
日本ではすごく珍しい白い牛、この北十勝ファームでは、約10年前からシャロレーを飼育してきました。消費者の好みが「霜降りより健康的な赤身肉」に変わりつつある今、「白毛和牛(仮)」を作りたいという上田さんの願いは実現しつつあります。


私も何度か北十勝牧場でシャロレーの育成状況を見てきて、そのかわいさに魅了され、上田さんの将来のビジョンを応援しています。

弊社と北十勝ファーム様とのお付き合いは約10年になりますが、何度も短角牛独自の飼育方法である「夏山冬里」を行う音別の広大な牧場と足寄の大きな牛舎にもお伺いし、上田社長の畜産事業に向き合う真摯な姿勢に触れて一応援者としても交流を重ねて参りました。
その間には、お嬢さんの七加さんの畜産事業者としてのご成長や、ご結婚、ご出産といった個人的なご発展も目にして、まさに一緒に時を重ねさせていただいたことにも感謝しております。
音別の放牧場には過去に何人かのバイヤー様をお連れしたこともあり、海からほど近い丘に広がるその素晴らしい風景と、伸び伸びと生活する多数の短角牛の親子の姿を目にして、皆さん一様に大きな感動と喜びを感じてもいただけました。
又、数年前には都内の大手百貨店様ギフトカタログの巻頭向けに一緒に新しい商品を作り上げて、大変良い販売結果を得られたことも記憶に新しいところです。 これからも時代や世代を超えて、永く素敵なお付き合いをさせていただけるよう願っています。