北十勝発 家畜の供養祭と牧場開き
毎年恒例の家畜の供養祭と、この土地への感謝を込めて
2024年5月23日
北海道の十勝、遠くに海を望むなだらかな丘は、見渡す限りの青い草原。ここで夏の間、北十勝ファームの短角牛たちが放牧されます。


以前、北十勝ファーム社長の上田金穂さんは、この放牧場で「紀元二千六百年記念」の石碑を見つけ、毎年5月23日の牧場開きに合わせて供養祭を続けてきました。この土地の神様、この草原で牛たちが土地の恵みをいただくことに感謝を込めるとともに、牛たちの命の尊さを想い毎年続けている供養祭に、私も5年前から参加させていただき、今年も北十勝ファームのスタッフやご家族とともに手を合わせてきました。
この石碑にある「紀元二千六百年記念」とは、1940年(昭和15年)が神武天皇が即位してから2600年に当たることから、日本政府主導で国をあげて祝典を行なったものです。その記念事業の一環として、この石碑が建立されたと推測されます。
戦時中は主に軍用馬の「軍馬の牧場」として使用され、戦地で命を果てた馬も数多くいたと聞いています。実に84年以上の時を経た石碑です。
お供物を持って丘に登り、石碑の前に並べます。そして、お坊さんの読経の後、講話を拝聴しました。


「ご先祖様からずっと続く、いただいた命です。人、命、すべて大切に。自然のあらゆるもの、その力をいただき私たちは生きています。この地で命が育まれることに感謝しましょう。」とお坊さんは話されました。木立ちの中、さわやかな北十勝の風が吹く丘で供養祭はしめやかに行われました。
毎年この供養祭に参加する時に、東京の本格的な夏の到来と十勝地方に初春の訪れを感じて、改めて日本国内の季節の違いを実感しています。
そして、もう一つの密かな楽しみが牧場にビニールシートを広げて、みんなでいただくランチです。
上田家の季節の山菜や心温まる手作りのお惣菜にセイコーマートのホットシェフ(店内調理)おにぎりで、ようやく春めいてきた十勝の空気を感じながら食べる贅沢さは、決して都会では味わうことのできない至福のひと時です。
その時間が、また来年も来られるように仕事を頑張ろうという気にさせてくれます。
